2015年10月1日にスタートした我国の新しい医療事故調査制度は、2016年10月には満1年を迎えました。 この間、医療現場では、医療に起因した死亡かどうか、また、予期した死亡であるかどうか、など、判断に迷うことも多いためか、センターへの報告件数は、当初想定されたものよりも少ないものとなっています。
 昨年、各地で、医療事故調査制度に関する講演会やシンポジウム等が開催されました。 私が関わりを持っている団体等でも以下の通り講演会やシンポジウムが開催されました。
 すなわち、医療事故情報センターは、5月28日の総会において、「医療事故調査制度の実情と課題」というテーマでシンポジウムを行いました。 また、医療事故情報センターは10月1日に、いわゆる「医療事故調110番」として、医療事故の遺族を対象に電話相談を実施しました。
 11月20日には日本医事法学会が、明治大学で「医療事故調査制度について」というテーマでシンポジウムを開催しました。
 12月11日には、医療の安全に関する研究会が名古屋で一昨年に引き続き「医療事故調査と医療の安全を考える」というテーマでシンポジウムを実施しました。 (これらのシンポジウムの詳細については、各団体のホームページをご覧ください。)
 これらにかかわって、本来この制度によってセンターに報告されるべきと思わる死亡事故が必ずしも報告されてはいないのではと感じています。 また、各医療機関の院内医療事故調査委員会が果たして公正に実施されているのだろうかと疑問に思うこともありました。 「医療事故から学ぶ」「同僚評価を公正に行う」という文化が、医療の世界に広がっていくためには一定の年月を要することとは思われますが、良い方向に向かうよう、皆様と力をあわせて考えていきたいと思っています。
 医療事故調査制度の充実発展のために取り組んできた者の一人として、思いがけず医療事故で家族を失った方々の思いにも寄り添いながらこれからも医療事故調査制度が本来の趣旨に沿って運用され、定着していくように、粘り強く活動を継続していこうと思っています。

 そして、やはり、医療の安全と被害者救済は車の両輪ですから、医療事故調査制度だけではなく、医療被害者の救済制度についても整備が図られる必要があります。 この3月末で南山大学法科大学院を定年退職した後には、「医療被害防止・救済センター」構想に関しても、より一層取り組んでいきたいと思っています。
 どうかご指導ご協力を賜りますようお願い申し上げます。

                                 2017年1月1日    加 藤 良 夫




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