年頭にあたり、日頃のご厚情に深謝し、皆様方のご多幸を心よりお祈り申し上げます。

一昨年(2012年)2月15日にスタートした厚労省の「医療事故に係る調査の仕組み等のあり方に関する検討部会」は、13回にわたる会議を重ね、昨年(2013年)5月29日に検討部会としての意見が取りまとめられました。
すなわち、診療関連死が発生した時には、医療機関は第三者機関に届け出ること、第三者機関は各医療機関が医療事故調査をすることを支援すること、各医療機関は原則として院内で外部の専門家を招いて医療事故の調査をすること、医療事故調査報告書を作成した時には第三者機関にその写しを送付すること、報告書は遺族にも渡されること、などが検討部会で合意されました。
順調にいけば本年春頃には、取りまとめの内容を踏まえて医療法の改正案が国会に提出されるのではないかと思われています。
この取りまとめの内容については、届け出るべき診療関連死の範囲が解釈によって狭くなる可能性があること、第三者機関が国の組織ではなく民間の組織であること、特に比較的小さな医療機関において公正で客観的な事故調査ができるかどうかについては心配があることなど、不十分な面があると思われますが、まずはこれを法案化し、適切なガイドラインを定めるなどして第一歩を踏み出す必要があると考えております。

なお、昨年11月23,24日南山大学において、第43回日本医事法学会が開催されました。学会のシンポジウムのテーマは、院内医療事故調査のあり方に関するものでありました。今後、色々なところで、同僚評価が公正になされるための具体的な方策が検討されていくことと思われます。私達も医療の安全のための医療界の取り組みの状況について大いに関心を持って見ていかなければなりません。

ところで、この検討部会の取りまとめは、あくまでも医療事故の調査の仕組みに関するものであり、医療事故被害者の法的救済を目的とするものではありません。
近時、医療被害者は不況の影響のほか、いわゆる「医療崩壊」キャンペーンなどの影響のためか、裁判所に訴えを提起することも、裁判で勝訴することも困難な状況に置かれています。
医療過誤を証明しうるケースについては医療被害者が損害賠償請求訴訟を提起して勝訴することができることが重要であると思っています。これまでいくつかの制度作りのためにも尽力してきたつもりですが、今年は医療被害者の方々と共に力を合わせて、医療被害防止・救済システムづくりのほか、示談交渉や裁判等を闘っていこうと思っています。
どうかご指導ご協力を賜りますようお願い申し上げます。

                                 2014年1月1日    加 藤 良 夫




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