あけましておめでとうございます 
 
年頭にあたり、日頃のご厚情に深謝し、皆様方のご多幸を心よりお祈り申し上げます。

 昨年、名古屋の大学病院では、子どもが術後2日で死亡したケースについて、その親が第三者機関での解剖を希望し、病院がこれを断ったことから、 3ヵ月以上解剖がなされないまま病院内に安置され、結局死後111日に至って他大学病院で病理解剖がなされたという事例が生じました。
 死因究明システムの不備ならびに国の第三者機関の必要性が強く認識された事例であります。
 このケースについては、目下院内事故調査委員会が開催されています。委員会では、診療上の問題点の検証とともに死後の対応についても検証作業が なされると思われます。 各医療機関において、自律的、客観的に医療事故調査ができるようになっていくこと、そのための医療界における安全文化が育っていくことが重要です。

 昨年6月には、あけび書房から日弁連シンポ実行委員会編『安全で質の高い医療を実現するために』(本体定価2,800円)が発行されました。 これは、一昨年10月に富山市で開催されたシンポの基調報告書をベースにして出版されたものです。 この中にはシンポ実行委員会で検討した「院内事故調査ガイドライン」が掲載されていますので是非ご一読下さい。

 政権が交代したことによって、これまで厚労省が進めてきた「医療安全調査委員会」構想は当面進展が見込めないように一見感じられます。 しかし、医療事故の真相を究明して再発防止につないでいくとともに著しく意外で重大な被害を蒙った方を救うためのシステムが必要であることは医療者、 患者はもとよりすべての人々が理解できることと思います。 この間行われてきた「医療安全調査委員会」に関する検討会における膨大な議論や、いわゆる診療関連死の調査・分析モデル事業の実践は、 新しいシステムを構築していくためには、まことに貴重なものと思っています。 第三者機関の設置を求める人々とともに今後も地道な努力を重ねていきたいと考えています。
 今年も患者の人権、医療の安全のため頑張っていきますので、お力添えをお願いします。

                                 2010年1月1日    加 藤 良 夫


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