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一定規模以上(300床以上)の医療機関で死亡等の重大な事故が発生した場合には、被害者の上記「5つの願い」を踏まえ、前記「基本姿勢」のもと、院内において、公正で客観的な事故調査を速やかに実施する必要がある。そのためには、内部の委員と外部の委員の割合を1対1(実際は原則として3名対3名)の割合で構成し、外部委員には、臨床能力の高い医師のほか、日頃より患者側でカルテ等の検討をしてきて調査能力のある弁護士が参画することが望まれる。このような弁護士が事故調査に加わることによって被害者側には公平感・安心感が広がり、事故調査についての信頼性も増すものと考えられるからである。
院内医療事故調査委員会の設置の趣旨は、再発防止のための教訓を引き出すことにある。したがって事故調査を遂げた上で、改善のための提言をまとめることが重要である。改善点としては、システム上の問題点にまで及ぶことが求められる。なぜなら、一見個人的なミスのように見られるケースであっても、背景事情にさかのぼってよく検討すると、チームのあり方や人員の配置、トレーニングシステム、情報の伝達等に関連することがらが浮かび上がってくるからである。さらには、医療行政上の施策の不備等が関連していると考えられるならば、それらのことについても言及がなされてしかるべきである。
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